岩田健太郎教授是傳染病專家(神戸大学病院感染症内科),有研究非洲研究伊波拉病毒、考察過SARS(2003年)。他登上鑽石公主號,後來厚勞省人要趕他落船,他問「沒有人擬定感染對策,一天會出現數百名感染者也無所謂嗎?」然後…都係被人一日就被趕落船。
片中提到
1)DMAT(災難醫療援助團隊)裡面沒有負責擬定感染對策的專家
2)船上有醫護人員沒有穿全套防護設備
3)大家防疫意識很低,笑著跟他說「你剛剛跟患者擦身而過~」
4)負責官員不理他提出「只靠檢測PCR不夠」和監測體溫的建議
5)船上情況透明度很低
這是社會各界都需要認真關心的事情,片有點長但建議各位花時間睇晒,下面有日/英不同版本。今日開始大約分3批回香港的港人,存在頗高風險。
岩田先生已經自我隔離中。
https://youtu.be/vtHYZkLuKcI(英文版)
https://youtu.be/W3X3RSmf7ds(日文版)
文字版本by しずおかハートNet
https://www.facebook.com/shizuokaheartnet/posts/3090597384307244
//岩田健太郎
神戸大学医学研究科感染症内科教授
↓ツイート
https://twitter.com/georgebest1?fbclid=IwAR21qlBsq1CEu4RaOdTLuuo3Wh6XC6fupzO1y9GqX3yRaKEg6c5EJ6xJ_TI
以下文字起こし
岩田健太郎です、
神戸大学病院感染症内科教授をしていますが、今からお話しする内容は、神戸大学など所属する機関とは一切関係なく、私個人の見解です。
あらかじめ申し上げておきます。
今日、2月の18日にプリンセスダイヤモンドに入ったんですけど、1日で追い出されてしまいました。
何故そう言うことが起きたのかについて、簡単にお話しようと思います。
もともとその、プリンセスダイヤモンドはすごく、そのCOVID-19の患者がどんどん増えていくということで、感染対策がすごくうまくいってないんじゃないかという、あの、懸念がありました。
で、環境感染学会が入り、FETPが入り、行ったんですけどあっという間に出ていってしまって、で中がどうなっているかよく分からないという状態でした。
で中の方から、いくつかメッセージを頂いて、すごく怖いと。感染が広がっているんじゃないかと私に助けを求めてきたので、いろんな筋を通じて何とか入れないかと打診してたんですね。
そしたら、昨日、2月の17日に厚労省で働いている某氏から電話が来て、入ってもいいよと、やり方を考えましょうという事でした。
で最初、環境感染学会の人として入るという事だったんですけれども、環境感染学会はもう中に人を入れないという決まりを作ったので、岩田一人を例外にできないということで、お断りをされて、結局DMAT(災害派遣医療チーム)ですね、災害対策のDMATのメンバーとして入ったらどうかというご提案を厚労省の方から頂いたので、わかりましたということで、18日の朝に新神戸から新横浜に向かったわけです。
そしたら途中で電話がかかってきて、誰とは言えないけど、非常に反対している人がいると。入ってもらっては困ると言う事で、DMATのメンバーで入るという事は立ち消えになりそうになりました。
すごく困ったんですけど、なんとか方法を考えるということで、新横浜で待っていたら、またもう一回電話がかかってきて、DMATの職員の下で、感染対策の専門家ではなくて、DMATの一員としてDMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげると、非常に奇妙な電話を頂きました。
なぜそういう結論に出たのか分からないですけど、とにかくいう事を聞いてDMATの中で仕事をしていて、だんだん顔が割れてきたら、感染のこともできるかもしれないから、それでやってもらえないかという依頼を、非常に奇妙な依頼を受けたんですけど、他に入る方法は無いものですから、分かりましたと言って現場に行きました。
そして、ダイヤモンドプリンセスに入ったわけです。
入ってご挨拶をして、最初はこの人の下に就けと言われた方にずっと従っているのかと思ったら、DMATのチーフのドクターとお話をして、そうすると、お前にDMATの仕事を期待していないと、どうせ専門じゃないしということで、お前感染の仕事だろうと、感染の仕事をやるべきだと助言を頂きました。
これ、DMATのトップの方ですね、現場のトップの方。
あーそうなんですかと、私はとにかくいう事を聞くと約束してましたので、感染のことをやれと言われた以上、やりましょうという事で、現場の案内をして頂きながら、いろんな問題点というものを確認していったわけです。
それはもう、酷いものでした。
あのーー、もうこの仕事20年以上やっていてですね、アフリカのエボラとか中国のSARSとか、いろんな感染症と立ち向かってきました。
もちろん身の危険を感じることも多々あったわけですけど、自分が感染症にかかる恐怖っていうのは、そんなに感じた事が無いです。
どうしてかと言うと、僕はプロなので、自分がエボラに罹らない、自分がSARSに罹らない方法って言うのは知っているわけです。
或いは、他の人をエボラにしない、SARSにしない方法とか、施設の中でどういう風にすれば感染がさらに広がらないかってことを、熟知してるからです。
それが分かっているから、ど真ん中にいても怖くない。
アフリカにいても中国にいても怖くなかったわけですが、ダイヤモンドプリンセスの中はものすごく悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました。
これはもう、COVID-19に感染してもしょうがないんじゃないかと、本気で思いました。
レッドゾーンとグリーンゾーンと言うんですけど、ウイルスが全くない安全なゾーンと、ウイルスがいるかもしれない危ないゾーンをきちっと分けて、そしてレッドゾーンでは完全にPPE (Personal Protective Equipment)という防護服を着け、グリーンゾーンではなにもしなくていいと、こういう風にきちっと区別をすることによって、ウイルスから身を守るという事は、我々の世界の鉄則なんです。
ところが、ダイヤモンドプリンセスの中はですね、グリーンもレッドもグチャグチャになってて、どこが危なくてどこが危なくないのか、全く区別がつかない。
どこにウイルスが、、ウイルスって目に見えないですから、完全な区分けをすることによって、自分の身を守るんですけど、もう、どこの手すり、どこの絨毯、どこにウイルスがいるのか、さっぱり分からない状態で、いろんな人がアドホックにPPEを着けてみたり、手袋はめてみたり、マスクをつけてみたりつけなかったりするわけです。
で、クルーの方も、N95をつけてみたりつけなかったり、或いは熱のある方がですね、自分の部屋から出て歩いて医務室に行ったりするということが、通常で行われているということです。
私が聞いた限りでは、DMATの職員、それから厚労省の方、検疫官の方がPCR陽性になったと聞いていたんですが、それはもうむべなるかなと思いました。
中の方に聞いたら、いや、我々もこれ感染すると思ってますよ、という風に言われて、びっくりしたわけです。
どうしてかというと、我々がこういう感染症のミッションに出る時は、必ず自分たち医療従事者の身を守るというのが大前提で、自分たちの感染のリスクをほったらかしにして、患者さんとかですね、一般の方々に立ち向かうってのは、御法度、これもうルール違反なわけです。
環境感染学会やFEPが入って、数日で出ていったという話を聞いた時に、どうしてだろうと思ったんですけど、中の方は感染するのが怖かったんじゃないという風におっしゃっていた人もいたんですが、それは気持ちはよく分かります。
なぜなら、感染症のプロだったら、あんな環境にいたらものすごく怖くてしょうがないからです。
ぼくも怖かったです。
もう、これは感染、、今、某、これちょっと言えない部屋にいますけど、自分自身も隔離して、診療も休んで、家族とも会わずに、いないとヤバいんじゃないかと、個人的にはすごく思っています。
今私が、COVID-19、ウイルスの感染を起こしていても、全く不思議はない。
どんなに、そのPPEとかですね、手袋とかあってもですね、その安全と安全じゃないところっていうのを、ちゃんと区別できてないと、そんなものは何の役にも立たないですね。
レッドゾーンだけでPPEを完全につけて、それを安全に脱ぐってことを遵守して初めて、その、自らの安全が守れる。
自らの安全が保障できない時に、他の方の安全が守れるはずがない。
今日は、藤田医科大学へ人を送ったり搬送したりするって、皆さんすごく忙しくしてたんですけど、そうするとこう、研究者の方と一緒に歩いてて、ふっと患者さんとすれ違ったりするんです。
あ、今患者さんとすれ違っちゃうって、笑顔で検疫の職員が言っているわけです。
この、我々的には超非常識なことを平気で皆さんやってて、で皆それについて何も思っていないと。
聞いたらその、そもそも常駐しているプロの感染対策の専門家が一人もいない。
あの、時々いらっしゃる方がいるんですけど、彼らも結局ヤバいなと思っているんだけど、何も進言できない、進言しても聞いてもらえない。
やってるのは厚労省の官僚たちで、私も厚労省のトップの人と相談、話しましたけど、ものすごく嫌な顔されて聞く耳持つ気無いと。
何でお前こんなところにいるんだ、何でお前そんなこと言うんだみたいな感じで、知らん顔すると、いうことです。
非常に冷たい態度とられました。
DMATの方にも、そのようなことで、夕方のカンファレンスで何か提言申し上げてもよろしいですかと聞いて、いいですよという話はしていたのですが、突如として夕方5時くらいに電話がかかってきて、お前は出ていきなさいと、検疫の許可は与えないと、ま、臨時の検疫官として入っていたのですけど、その許可を取り消すということで、資格を取られて検疫所の方に連れられて、当初電話をくれた厚労省にいる人に会って、なんでDMATの下で仕事しなかったのかと、感染管理の仕事はするなと言ったじゃないかと言われました。
でも、そもそもDMATの方に感染管理してくれと言われたんですよと話したんですけど、とにかく、岩田に対してすごくムカついた人がいると。
誰とは言わないけど、ムカついたと。
だからもう、お前はもう出ていくしかないんだと話をしました。
でも、僕がいなくなったら今度は感染対策するプロが一人もいなくなっちゃいますよって話をしたんですけど、それは構わないんですかっても聞いたんですが、それからこのままだともっと何百人という感染者がおきて、DMATの方も、、、DMATの方を責める気は更々なくて、あの方々は全く感染のプロでは無いですから、その、どうも環境感染学会の方が入った時にいろいろ言われて、DMATの方は感染のプロ達にすごく嫌な思いをしていたらしいですね。
それは、申し訳ないなと思うんですけれども、別に彼らが悪いって全然思わない、専門領域が違いますから。
しかしながら、彼らが実はリスクの状態にいるわけです。
自分たちが感染するという。
それを、防ぐこともできるわけです。
方法ちゃんとありますから。
ところが、その方法すら知らされずに、自分たちをリスク下に置いていると。
そして、そのチャンスを奪い取ってしまうという状態です。
で、彼ら医療従事者ですから、帰ると自分たちの病院へ行って仕事するわけで、今度はまたそこから院内感染が広がってしまいかねない。
で、もうこれはもう、大変なことで、アフリカや中国なんかに比べても全然酷い感染対策をしているし、シエラリオネなんかの方がよっぽどマシでした。
日本にCDC (アメリカ疾病予防管理センター.政府機関)が無いとはいえ、まさかここまで酷いとは思ってなくて、もうちょっとちゃんと専門家が入って、専門家が責任を取って、リーダーシップをとって、ちゃんと感染対策についてのルールを決めてやってるんだろうと思ったんですけど、まったくそんなことはないわけです。
もうとんでもないことなわけです。
これ、英語でも、つたない英語でも収録させて頂きましたけど、とにかくあの、多くの方にこのダイヤモンドプリンセスで起きていることをちゃんと知って頂きたいと思います。
そしてできるならば、ちゃんと学術会ですとかね、或いは国際的な団体なり日本に変わるように促して頂きたいと思います。
彼らはまぁ、あの、残念ながら、、、(電話で中断)
あの、編集が下手でちょっと変なつながりになったと思いますけども、考えてみると03年のSARSの時に、僕も北京に行ってとても大変だったんですけど、特に大変だったのはやはり中国が情報公開を十分してくれなかったというのがとても辛くて、何が起きているのかよく分からないと。
北京にいて本当に怖かったです。
でも、その時ですらもうちょっときちっと情報は入ってきたし、少なくとも対策の仕方は明確で、自分自身が感染するリスク、SARS死亡率10%で怖かったですけれども、しかしながら今回のCOVID-19、少なくともまぁ、ダイヤモンドプリンセスの中のそのカオスの状態よりは、遥かに楽でした。
で、思い出して頂きたいのは、そのCOVID-19、武漢で流行りだした時に、警鐘を鳴らしたドクターが、ソーシャルネットワークを使って、これはヤバいと勇気をもって言ったけです。
昔の中国だったらああいうメッセージが外に出るなんて絶対許さなかったはずですけど、中国は今、BBCのニュースなんか聴くと、やっぱ、オープンネスとトランスペアレンシーを大事にしているとアピールしています。
まぁそれがどこまで正しいのか僕は知りませんけど、少なくとも透明性があること、情報公開ちゃんとやることが、国際的な信用を勝ち得る上で大事なんだってことは理解しているらしい。
中国は世界の大国になろうとしてますから、そこをしっかりやろうとしている。
ところが日本は、ダイヤモンドプリンセスの中で起きてることは全然、情報を出していない。
それから、院内感染が起きているかどうかは、発熱のオンセットをちゃんと記録して、それから、カーブを作っていくという、統計手法、エビカーブってのがあるんですけど、そのデータを全然とっていないということを、今日教えてもらいました。
PCRの検査をした日をカウントしても、感染の状態は分からないです。
このことも実は厚労省の方に既に申し上げていたんですけども、何日も前に。
全然、されていないということで、つまり要は、院内の感染がどんどん起きててもそれに全く気付かなければ、気付いてもいない、対応すらできていない、で、専門家もいないと。
ぐちゃぐちゃな状態になったままでいるわけです。
このことを、日本の皆さん、或いは世界の皆さんが知らぬままになってて、特に外国の皆さんなんかは、そうやってこう、あの、、かえって悪いマネジメントで、ずっとクルーズの中で、感染のリスクに耐えなきゃいけなかったということですね。
やはりこれは日本の失敗なわけですけれども、それを隠すともっと失敗なわけです。
確かにあの、まずい対応であるということがバレるというのは、それは恥ずかしい事かもしれないですけど、これを隠ぺいするともっと恥ずかしいわけです。
やはり、情報公開大事なんですね。
誰も情報公開しない以上は、ここでやるしかないわけです。
ぜひ、この悲惨な現実を知って頂きたいということと、ダイヤモンドプリンセスの中の方々、それからDMATやTPATや厚労省の方々がですね、或いは検疫従事の方々がですね、もっとちゃんとプロフェッショナルなプロテクションを受けて、安全に仕事ができるように、彼ら本当に、お気の毒でした。
という事で、全く役に立てなくて、非常に申し訳ないなという思いと、この大きな問題意識を皆さんと共有したくて、この動画を上げさせて頂きました。
岩田健太郎でした。//